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研究会設立の趣旨

 医療の発展に伴い、植え込み型医療器具の安全性は向上してきましたが、従来の有機物によるコーティングでは、感染、血栓形成、アレルギー、肉芽の形成、コーティングに含まれる薬剤による副作用、等の問題は未だに解決でされておらず、より高生体適合性の医療用コーティング材料が求められています。

 Diamond-like-carbon (以下 DLC)は、金属用のコーティング素材として知られており、ダイヤモンドと黒鉛の中間の炭素原子結合で構成された極薄、半永久耐久性、超平滑のコーティング素材です。ほぼ炭素のみからできていることから、従来の有機コーティングと違い、アレルギーが無い、薬剤性の副作用がないと考えられている事から、生体植え込み型の医療器具への応用が近年注目されております。また、近年のDLCコーティング技術の発展に伴い、コーティングできる材料や、DLCコーティングに付加できる性質が多様化してきており、DLCは植え込む部位、臓器、用途に応じた性質を付与できる次世代医療用コーティング材料として大きな可能性を有していると言えます。また、DLCコーティングは細胞やタンパクの接着を表面電位や親水性を細かく変える事により大きく変化させる事ができると考えられており、再生医療などにおける細胞培養や特定のたんぱく質の吸着などに影響を与えることが可能である為、基礎医学研究にも応用できる可能性があります。

 一方、DLCコーティングの医療応用を目的とした研究はまだ黎明期の段階であり、医療応用についての知見を交換する場なども、ほとんどありません。そこで、DLCコーティングの基礎医学・臨床医学への応用を目指す研究者の情報交換の場として、「日本医用DLC研究会」を設立しました。

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