DLCについて

 DLC(Diamond-Like Carbon)膜は、ダイヤモンドのsp3結合とグラファイトのsp2結合の両方が混在する不規則な骨格構造としたアモルファス炭素系膜であり、様々な種類がある。(図1)従来から、sp2 炭素結合の割合が優勢であればグラファイト状炭素(GLC: Graphite-Like Carbon)、水素が含有されて軟質となればポリマー状炭素(PLC: Polymer-Like Carbon)であり、DLCとは分けて呼ばれている。一方、これらの境界は未だはっきりと定められていないばかりか、DLC という名称が、総称であるにもかかわらず学術的には広い範囲で用いられ、産業界ではここ10年で完全に商業用語として定着した。故にDLCという名称が確固たる地位で産業界に根付き、大いに役立っているといえる。DLC 膜は水素以外に、その他の元素としてSi、N、F、金属元素(Cr、W、Ti)等が添加される場合があり、用途に応じた材料物性の付与が達成されている。総じてDLC 膜は、高硬度、低摩擦係数、耐摩耗性、耐食性、化学的安定性、離型性、生体親和性、ガスバリア性という特徴を有しているため、自動車部品や機械部品の保護膜、医療機器の生体適合化膜として益々産業応用の需要が高まってきている。ただ、全ての特徴を有した万能なDLC膜は存在せず、適材適所のDLC膜の創り込みが必要である。

​                  図1

 医療機器への応用では、DLC 膜の生体親和性、化学的安定性、金属イオンバリア性などの特徴が活用されている。成膜には、プラズマCVD 法(PACVD: Plasma Assisted Chemical Vapor Deposition)、イオン化蒸着法、陰極真空アーク法などが用いられ、冠動脈ステント、カテーテル、人工歯根、人工股関節、人工血管などへの応用が進められている。そのうち、冠動脈DLCステントは、純国産の医療用DLCとして商品化もされている。

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